猫にエビオスを与えると腎不全、便秘や下痢に効果があるって本当?

猫と薬

猫にエビオス錠を与えると、便秘や下痢の時の整腸効果、腎不全にも効果があると言われています。

エビオスは人間用のビール酵母のサプリメントで、ビール酵母に含まれる栄養素は胃腸の働きを活発にしてさらに栄養補給もしてくれます。

猫にも効果があるという、エビオスについてまとめました。

目次

猫にエビオス ビール酵母を与える効果

獣医さんも猫が下痢の時などに整腸剤としてエビオス与えることを認めていますので、一時的な対策として猫にエビオスを与えることは問題はないでしょう。

猫にエビオスを与えた時の効果として報告されていることは以下の通りです。

  • 軟便、下痢・便秘時の整腸効果
  • 栄養補給・食欲増進・胃腸や免疫力の強化
  • 腎臓・肝臓の働きをサポート・腎不全の数値が改善

エビオスはビール酵母の栄養素が摂取できるサプリメントで、ビタミンB1・B2・B6などのビタミンB群、タンパク質やグルカン・マンナンなどの食物繊維、さらに核酸などが含まれています。

人間を始めとした生物の構成要素であるタンパク質はアミノ酸からできていていますが、エビオス錠には体内では作れない必須アミノ酸9種類が含まれているのも特徴です。

猫にエビオスを与える場合の量

エビオスは人間用のサプリメントですが、猫に整腸の目的で与える場合の量は、1日5〜10錠は与えて良いと獣医さんがおっしゃっています。

ただこれは、あくまでも猫が下痢や軟便、便秘の時の整腸剤としてエビオスを与える場合の量であって、その他の目的でエビオスを使う場合の量は獣医さんに相談して投与量を決めたほうが良いでしょう。

エビオスのビール酵母にはミネラルが含まれており、ミネラルの中でもリンは腎不全の猫にとっては摂取量を制限しないとデメリットがあるということです。

一応の目安として、エビオスのリン含有量は1錠あたり4.3mgで、体重が4kgの腎不全の猫が1日に摂取して良いリンの量は0.13〜0.25gですからさほど気にする必要はないと思われます。

ですが、ミネラルやタンパク質のコントロールが必要な腎不全は、素人判断でエビオスなどのビール酵母の投与量を決めてはいけません。

特に腎不全の猫にエビオスを与える場合は必ず獣医さんに相談して、あなたの猫ちゃんの状態に合った投与量を教えてもらってください。

猫にエビオスを与えた時の副作用

エビオスはビール酵母に含まれる栄養素を摂取できるサプリメントで薬ではありませんから、健康な猫ちゃんなら副作用を心配する必要はあまりないでしょう。

ですが上述したように、腎不全の猫ちゃんにはメリットだけでなくデメリット(副作用)がある可能性があります。

例えば、腎臓の機能が低下するとリンを尿へ排出できなくなり血液中のリンの濃度が上昇します。

またビタミンDの働きが悪くなりカルシウムが体に吸収されにくくなることにより、血液中のカルシウム濃度は低下します。

腎臓の機能が低下すると、このような慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常という症状が起きます。

リンを含んだエビオスを腎不全の猫に与える時は、猫ちゃんの血液の状態などを獣医さんに診察してもらった上で、適切な量を与えないと副作用が出てしまう可能性もあります。

猫にエビオスなどのビール酵母が良い理由

エビオスなどのビール酵母は栄養補給の他にも整腸効果が高く、乳酸菌やビフィズス菌などの腸内細菌(善玉菌)を増やしてくれる効果があります。

猫は便秘がちな動物でもともと水分をあまり摂らない上に、猫の骨盤にある腸が通る穴は他の動物よりも狭いため、さらに便秘になりやすいのです。

猫が水分をあまり摂らないのは猫の祖先が「リビアヤマネコ」で、リビアヤマネコは北アフリカやアラビア半島の砂漠地帯に住んでいたため、水分が少なくても生きて行けるように適応したからと言われています。

猫の体質や体の構造上、便秘とは切っても切れない関係があるのですが、猫の便秘は猫の死亡理由の上位である腎臓病とも深い関わりがあるようなのです。

猫の便秘と腎臓病 腎不全の関係

腎臓は血液から尿を作るのですが、腎臓の中には毛細血管がたくさん走っており、血圧を利用して不要な物質や水分をろ過してくれます。

不要な物質(老廃物)は血液によって運ばれ、その血液が腎臓でろ過されて尿になり体の外へ排出されます。

腎臓に無数に走っている毛細血管の壁は、コーヒーのフィルターのような役割があり、この毛細血管が老廃物をろ過し体外へ排出してくれるのです。

ですが老化や便秘などで毛細血管がダメージを受けると、フィルターが目詰まりを起こすことがあります。

便秘によって毛細血管がダメージを受ける理由は腸内細菌糞の変化というものです。

腸内細菌には、

  • 善玉菌(20%) 乳酸菌、ビフィズス菌など
  • 中間菌(70%) バクテロイデス、大腸菌(非病原性)など
  • 悪玉菌(10%) クロストリジウム、ブドウ球菌など

という種類があり、バランスも以上のような割合が理想的と言われています。

中でも中間菌は善玉菌にも悪玉菌にも変化することができる菌です。

つまり中間菌が善玉菌に傾くか、悪玉菌に傾くかで腸内の健康度が変わるということです。

善玉菌の餌は主に糖類や食物繊維、悪玉菌は餌は主にタンパク質です。

そして、善玉菌が優勢な時は中間菌は悪さをしないのですが、悪玉菌が優勢になるとこの中間菌は悪玉菌に加勢し悪玉菌を増やします。

悪玉菌が増えて腸内細菌のバランスが崩れると便秘になりやすいです。

猫はもともと便秘になりがちな体質と体の構造ですが、悪玉菌の餌であるタンパク質が主要な栄養素ということもあり、もっと便秘になりやすいんですね。

その上、悪玉菌が増えることによってさらに困ったことが起きます。

悪玉菌の餌であるタンパク質はおよそ20種類のアミノ酸からできていて、そのアミノ酸の中にトリプトファンというものがあります。

トリプトファンは中間菌や悪玉菌によってインドールという有毒物質を産生します。

ちなみに乳酸菌、ビフィズス菌などの善玉菌はインドールを産生しません。

インドールは肝臓で解毒されインドキシル硫酸に変化し、腎臓に運ばれてろ過され尿として排出されます。

腎臓が健康ならインドキシル硫酸は尿として体外へ排出されるのですが、腎臓の毛細血管が目詰まりを起こしている場合は排出することが困難になります。

そうするとインドキシル硫酸が体内に貯まることになります。

肝臓でインドールが解毒された後の状態がインドキシル硫酸ですが、体内に貯まるのは良くありません。

というのもインドキシル硫酸は毛細血管を老化させる物質なので、体内に貯まると腎臓の毛細血管も老化させてしまうからです。

つまりこの流れをまとめると、

猫にとって主要な栄養素のタンパク質は中間菌や悪玉菌によってインドールという有毒物質に変わる。

インドールは肝臓で解毒されインドキシル硫酸に変化し腎臓へ運ばれる。

腎臓のろ過機能が健康ならばインドキシル硫酸は体外へ排出される。

しかし・・・

便秘などで腸内細菌の理想的なバランスが崩れると中間菌や悪玉菌が増える。

中間菌や悪玉菌が増えると、猫の主要な栄養素タンパク質(トリプトファン)が、有毒物質インドールに変化する量も増える。

インドールが増えることによって肝臓の解毒腎臓のろ過という仕事が増え、腎臓の機能低下にも繋がる。

腎臓の機能が低下すると、インドキシル硫酸を正常にろ過できないので体内に貯まる。

インドキシル硫酸は体内に貯まると毛細血管にダメージを与え老化させる。

腎臓に走っている毛細血管にもダメージを与え老化させるので、腎臓の機能がさらに低下する。

とういう負のスパイラルに陥ることになるのです。

腸内環境を整えることが腎臓病の治療にも繋がるのはこういった流れがあるからなんですね。

腎臓病の猫ちゃんにとって、腸内環境を整えることは腎臓を労ることと同じことということです。

そして日頃から猫の便秘対策を心がけることは、健康な猫ちゃんにとっても腎臓病になるリスクを減らすことに繋がります。

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まとめ

猫が便秘や下痢の時に腸内環境を整えることの大切さと、腸内環境を整えることが腎不全などの予防や治療に繋がるということが分かります。

整腸剤はエビオスの他にも、強力わかもと、ビオフェルミンなどがあります。

いずれにしても人間用であるため、猫に与える場合は獣医さんに相談の上で投与量などを決めた方がより安心ですね。

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