人参は犬が食べても大丈夫な野菜です。何より人参は低カロリーで栄養価が高く健康的な野菜です。
ドッグフードに混ぜるだけでなくおやつとしても、ビスケットなど他のおやつよりカロリーを気にすることなく与えられます。
目次
人参の栄養素 成分
人参はβ-カロテン(ビタミンA)、ビタミンB2、カリウム、食物繊維などの栄養素を含んでいて人間にとってだけでなく、犬にとっても健康に役立つ野菜です。
人参といえばβ-カロテンですが、β-カロテンは体内に取り込むことでビタミンAに変換されます。
ビタミンAは犬にとっても必須栄養素なので手軽なおやつとして少しずつ与えてみてはいかがでしょうか?
免疫力がアップし病気の予防になる
β-カロテンは免疫力を高め、癌などの病気を抑制する効果があると言われています。
呼吸や運動などで体内に取り込んだ酸素は一部が活性酸素になります。その量が多くなると体内の酸化力が強くなりすぎて、さまざまな病気の原因になります。
普段からβ-カロテンを摂取していると抗酸化力が働き体内が酸化しすぎるのを抑制してくれます。
犬の免疫力アップ、病気の予防にβ-カロテン積極的に取り入れたいですね。
目や皮膚、粘膜を健康に保つ
β-カロテンは目や皮膚、粘膜を健康に保ってくれます。
犬の鼻や喉の粘膜を強化してくれるので細菌感染の予防にもなります。
腸内環境を整える
人参に含まれる食物繊維が、腸の働きを活性化させて便通を良くしてくれることにより腸内環境が整います。
腸内環境を良くすることは犬にとっても健康の源です。第2の脳と言われるくらい大切な臓器でもある腸の健康は、肉が主食の犬の健康管理にも大切です。
犬に人参を与える方法
犬は食べ物を噛まずに丸飲みする習性があります。
人参が喉に詰まって窒息するなどの事故防止のために、犬に人参を与える際は大型犬ならば一口大に切ってあげたり、小型犬や子犬ならば摩り下ろすか柔らかく茹でたり蒸したりしたものを与えましょう。
そして人参はよく洗い皮ごと与えたほうが栄養が取れるのですが、どうしても皮を剥く場合はごく薄く剥きましょう。
人参は部位によって含まれる栄養が違います。人参の栄養は中心部から葉に送られるので、中側の栄養はスカスカになり皮に向かうほど栄養が残ります。
人間が食べる時もそうなのですが、人参の皮と呼んでいるものは「内鞘(ないしょう)細胞」といい問題なく食べることができる部分です。
皮と皮に近い部分のβ-カロテンは中心部に比べると2.5倍、ポリフェノールは4倍も含まれています。皮と皮に近い部分の豊富な栄養を捨てないように調理して与えるのがポイントです。
さらに人参に含まれるビタミンB2は水溶性のため、茹でた人参を犬に与える場合は茹で汁ごと冷まして与えるのがおすすめです。
(但し玉ねぎやネギ類と一緒に煮込んだ茹で汁は厳禁です!)
犬や猫が玉ねぎを食べてはいけないの?与えると危険な食べ物
生で大丈夫?
人参を生で与えることに問題はありませんが、栄養面では加熱したほうが人参のβ-カロテンが2倍も吸収されやすくなります。
さらに人参のビタミンAは脂溶性で油に溶けるビタミンです。少量の油で炒めたり和えたりするとβ-カロテンは70%も吸収されますが生のままでは8%とごくわずかです。
犬に人参を与える際、油を使うことに抵抗がある方は茹でる、蒸すなどの調理法でもβ-カロテンを活かすことができます。
なぜなら近年の研究では人参そのものにも僅かな脂肪分が含まれていることが明らかになり、加熱すれば人参そのものに含まれる油によってβ-カロテンの吸収率が高まるからです。
栄養面では生よりも加熱したほうが良いのですが、デンタルヘルスの観点では大きい生の人参を丸ごと冷凍したものを犬に与えることで、咀嚼玩具になり歯の汚れのお掃除にも一役買います。
生の人参を冷凍したものを与えることは、歯が生えたての子犬の歯不快感を和らげることにも使えると勧める獣医師さんもいます。
量はどのくらい?
人参の栄養素に問題はありませんが、体に良いからといってたくさんの量を犬に与えるのは禁物です。
なぜなら、人参に含まれるβ-カロテンは過剰に摂取すると犬の肝臓に負担がかかる可能性があるからです。
犬に人参を与える量の目安は1日の必要摂取カロリーの2割くらいが良いでしょう。
健康な避妊・去勢された犬の場合
体重 | 人参の量 |
---|---|
小型犬4kg | 163g |
中型犬10kg | 323g |
大型犬25kg | 642g |
※人参100gあたり39kcalで計算
消化は大丈夫?
人参に限らず野菜を構成している主な成分はビタミン・ミネラル・食物繊維・水分です。
この中で消化吸収できないのは食物繊維ですが、これは犬に限ったことでなく人間も同じで自分の消化酵素で消化できません。
では自分の消化酵素で消化できない食物繊維を分解してくれるのは何かと言うと腸内細菌です。
腸内細菌の餌は人参など野菜の食物繊維なので、人参などの食物繊維を犬に与えることそのものに意味があるのです。
人参を食べても健康な犬ならば消化されて下痢や嘔吐などの症状を起こすこともありません。
大きめに切った人参などはそのまま出てきてしまうこともありますが、問題ないということをペット食育の指導士の方に伺いました。
ただ人参には繊維質が多く含まれているため、消化疾患を抱えている犬の場合は消化不良が心配されます。
まずは上の表で当てはまる量の半分くらいの人参を、生でなく消化に良い調理法で与え様子を見ましょう。
犬に人参栄養湯 認知症やその他の不調に
犬の病気に漢方を処方してくれる獣医さんがいます。中でも人参栄養湯は犬の認知症に効果が見られることが確認されています。
人参栄養湯は人参を主薬とした滋養強壮や血行改善に効く漢方です。
漢方の概念では「気血両虚」という言葉があり、生命活動の根源的なエネルギーである「気」と血液や血液の働きを示す「血(けつ)」の両方が不足している状態のことを言います。
血液は全身の組織や器官に栄養を与えるものですから、根源的なエネルギーと血液の働きを高めることによって組織や器官も正常に働くことができます。
認知症のさまざまな症状は脳の働きの低下が原因ですので、人参栄養湯で血液の働きが高まることで脳に栄養が行き渡り改善するというのは理にかなっています。
参考 【アンチエイジング】 犬の認知症が(漢方薬)人参養栄湯で改善!
認知症の他にも口の中が乾燥してドライフードが食べられなかった犬が、唾液の分泌が改善されて、2週間後にはドライフードが食べられるようになった例もあります。
参考 動物を癒す漢方
人参(にんじん) 当帰(とうき) 芍薬(しゃくやく) 地黄(じおう) 白朮(びゃくじゅつ) 茯苓(ぶくりょう) 甘草(かんぞう) 桂皮(けいひ) 黄耆(おうぎ) 遠志(おんじ) 陳皮(ちんぴ) 五味子(ごみし)
まとめ
人間が普段食べている物にワンちゃんは興味しんしんです。
与え方に注意しながら、人参などの栄養豊富で低カロリーな野菜を上手に犬の食生活に取り入れてあげたいですね。