猫は美食家と言われていますね。猫ちゃんによっては質より量という食いしん坊さんもいるようですが・・
ですので猫がじゃがいもを好きか食べてくれるかどうかはその子によりますが、じゃがいもはキャットフードにも入っていることがありますし、手作りご飯やおやつとしてじゃがいもを与えるメリットは栄養面でもたくさんあります。
じゃがいもの栄養素と調理する時に注意することをまとめました。
目次
じゃがいもの栄養素 成分
ビタミン・ミネラル・食物繊維・GABA・ポリフェノールなど豊富な栄養素が含まれているじゃがいもの健康効果です。
猫ちゃんがじゃがいもを気に入って食べてれるなら、定期的に食事に取り入れるメリットがいっぱいですよ。
みかんよりも多いじゃがいものビタミンC
じゃがいものビタミンCは同じ100mgで比べた場合みかんよりも多く、加熱調理しても本来熱に弱いビタミンCをじゃがいものでんぷん質が守ってくれるので壊れません。
ビタミンCの抗酸化作用は猫の老化を緩やかにし、動脈硬化など血管の病気を防いでくれます。
抗酸化作用で免疫力もアップしウイルスや細菌などに対する抵抗力が高まり、猫の病気への抵抗力を高めてくれます。
肝臓でビタミンCを作れる猫ですが、活発で運動量の多い猫などは肝臓でのビタミンCの合成量が足りなくなることがあります。
老化やストレスでも同じことが起こるので、老猫などには特に栄養管理してあげたいですね。
また病気持ちだったり薬を服用している場合、薬の代謝も肝臓で行われるため肝臓への負担が多くなります。
その場合もビタミンCが足りなくなるので、病気の克服のためにも必要なビタミンです。
エネルギー代謝に欠かせないビタミンB群
じゃがいもには豊富なビタミンB群が含まれていますが、その中でもビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンB12・ビオチン・パントテン酸はタンパク質をエネルギーに変える際に欠かせない補酵素として作用します。
肉や魚が主食の猫のエネルギー代謝を円滑にしてくれる大切なビタミンなのです。
猫の必須ミネラルのひとつカリウム
じゃがいもにはカリウムも豊富に含まれています。
カリウムは猫の必須ミネラルの中でも多量必須ミネラルです。(カリウムが過剰になることで発症する高カリウム血症などの疾患がない猫の場合)
カリウムが欠乏すると筋力が低下したり、心臓や腎臓の障害を患ったり、子猫が健康に成長できないなどの症状が起きます。
ミネラルは多すぎても少なすぎてもいけないのですが、カリウムが足りていない猫ちゃんにはおすすめのじゃがいもです。
猫に与えるじゃがいもの調理法と注意点
じゃがいもの芽・傷がついた部分・光に当たり緑色に変色した皮は天然毒素のソラニンやチャコニンが多く含まれています。これらを丁寧に取り除きましょう。
緑色でない普通のうす茶色の皮には、ビタミン・カリウム、ポリフェノールなどが中身よりも多く含まれていているのですが、同時にソラニンやチャコニンも中身より多いく含まれています。
人間用ならじゃがバターやフライドポテトなどで、皮付きでじゃがいもを食べることはよくありますね。
人間はじゃがいもや野菜の天然毒素を解毒する能力が猫よりも高く適量なら皮を摂取するメリットも高いです。
でも猫ちゃんは人間よりも解毒能力が低いのでメリットよりも安全を優先して、じゃがいもの皮は取り除いて上げたほうが無難でしょう。
また、生のじゃがいものデンプンはβ(ベータ)デンプンといって消化に悪いです。加熱してα(アルファ)デンプン化させると消化に良いです。
細かく切って茹でる蒸すなどの加熱した後、スプーンなどでつぶしてマッシュポテトにしてあげたりすると食べやすいでしょう。
猫のじゃがいもアレルギー
じゃがいもに限らずアレルギー持ちの猫ちゃんはけっこういます。じゃがいもアレルギーは下痢や嘔吐、目が充血する、痒がるなどの症状が代表的です。
体調不良の原因が何かしらのアレルギーだったということもよくあります。
アレルギーの血液検査を1度しておくと、食べていい物と悪い物だけでなくその子の苦手なもの(植物やハウスダストなど他)が分かり、飼い主さんが猫ちゃんと一緒に暮らす上で気をつけなければいけないことが明確になり安心です。
アレルギーの血液検査は動物病院に行くとすぐにしてもらえて結果は1週間ほどで出ます。
料金は2万円ほどと少し高いですが、毎日食べるキャットフードが我が子の体質に合うのかどうかの目安にもなるので、猫の健康な生涯に対するコストとしては高くない出費でもあると思います。
猫の腎不全とじゃがいものしぼり汁
猫の腎不全治療に必要なのはカリウムのコントロールです。
カリウムと塩化ナトリウム(塩)は細胞の浸透圧を維持し調整してくれる生命活動の維持に欠かせないものです。
カリウムは猫の高血圧の予防の他、筋肉の収縮をスムーズにしてくれたり、腎臓に溜まりやすい老廃物の排泄を促してくれます。
慢性腎不全には高カリウム血症と低カリウム血症があり、猫の腎不全は低カリウム血症が多いと言われています。
低カリウム血症と高カリウム血症
体内のカリウムの98%が細胞に、2%が血液中などの細胞外にあり、血液中のカリウム濃度が乱れることで重大な障害が出ることに繋がります。
猫の血液中のカリウム濃度の正常値は3.5~4.5meq/Lです。
一般的に3.0mEq/L未満になると低カリウム血症、5.5mEq/L以上になると高カリウム血症とされています。
低カリウム血症の主な原因は
- カリウムの摂取量が足りていない
- 排出されるカリウムの量が多い
- 細胞が血液中のカリウムを通常よりも多く取り込んでしまう
などです。
高カリウム血症の主な原因は
- カリウムを多く含む食物の取りすぎ
- 腎臓のカリウム排泄機能に障害が出て尿と一緒に排泄できない
- 細胞内のカリウムが通常よりも多く血液中に移動してしまう
などです。
低カリウム血症とじゃがいものしぼり汁
高カリウム血症の猫はカリウムを制限する治療が必要ですが、低カリウム血症の猫にじゃがいもなどの高カリウムの食材を与えることは効果的です。
上記の調理法と注意点を守って、猫に与えてあげてみてください。
特にじゃがいものしぼり汁は昔からの民間療法として、主に便秘や胃潰瘍などの胃の不調に効果が高いことが知られてきました。
その健康効果に着目し大学の研究などでも新たな効果が発見されています。
生じゃがいものしぼり汁は胃潰瘍の他、十二指腸潰瘍、高血圧、腎臓病、糖尿病、貧血、喘息、下痢などにも効果があると言われています。
これらの発見は人間の医学のもので獣医学のものではありませんが、じゃがいもの栄養面を知れば納得することばかりです。
腎不全の症状のひとつである、低カリウム血症の猫にじゃがいものしぼり汁を与えることは、カリウムの補充に大いに役立つのではないかと思われます。
じゃがいものしぼり汁の作り方
芽と皮を取り除き、生のまま摩り下ろしたものをガーゼで絞ります。
水分をあまり取らない猫ちゃんでも、風味付けにかつお節や鶏肉の匂いなどを付けてあげるだけで飲んでくれると思います。
その他、人参やりんごが苦手でなければじゃがいもジュースもあります。
じゃがいもと人参のジュース
- ~材料~
- ※350cc分の場合
- じゃがいも 1個
- 人参 1本
- りんご 1個
- ~作り方~
- 食用の重曹などで材料をよく洗う。
- 無農薬でない場合は皮を剥き、りんごは種を取り、じゃがいもは芽を丁寧に除いたものをカットする。
- ジューサーで搾る。
まとめ
人間が食べるポテトサラダ、ポテチやフライドポテトなどは塩分と油分が猫の体に負担になります。
人間の食べ物に興味を示してもあげないようにしましょう。
ぜひ、ひと手間かけて猫ちゃんにじゃがいもを与えてみてくださいね。